- 2021 年の世界の旅客機輸送力(運航便座席数)が、2006 年の水準になると予想
- 2022 年の年末までに旅客機輸送力が2015 年の水準に回復すると予想
- 中国の国内線は、パンデミック前の2019 年の水準と比べて6%増加
- 2021 年の世界のフライトの78%は国内線
- 2021 年の国際線は2020 年と比べて6%増加する見込み
- 世界の稼働中の商業航空機は、2021 年末の1 万7000 機から2022 年末には2 万700 機に増加と予想
英国の航空データ分析大手、Cirium(シリウム)は、航空会社や航空業界についてCirium の専門家が分析した年次レポート「2021年版シリウム エアライン・インサイト・レビュー」を公開しました。このレポートは、昨年初めて2020年版を公開し、今回が2回目となります。今回のレポートでは航空業界の回復状況を分析し、2022年に旅客機輸送力(運航便座席数)が2021年比で 47%増加すると予想しています。この増加見込みによって、2022年の年末までに2015年の水準に戻る可能性があることが明らかになりました。「2021年版シリウム エアライン・インサイト・レビュー」の全文(英語)は、こちらから確認できます。
2020年、パンデミックとその影響によって旅客機輸送力の15年間分の増加がわずか数カ月で消失し、2020年の旅客機輸送力は2005年の水準にまで低下しました。
2021年の旅客機輸送力の回復にはばらつきがありましたが、世界的に見ると2021年の年末までに2006年の旅客機輸送力の水準に戻ると予想されています。
国内市場が好調な地域は、今年急速な回復を示しました。特に米国と中国の回復が顕著で、中国の国内線はパンデミック前の2019年の水準を6%上回っています。
2021年1月から10月31日までに全世界のフライトのうち、78%は国内線でした。国際線のフライトは、渡航者に自主隔離を設けるなど多くの規制が2021年第4四半期(10月~12月)まで続き、路線によってはまだそうした規制が残っていていることからゆるやかな回復となりました。実際、2021年の国際線のフライトは、2020年の同時期と比較して6%の増加となっています。
CiriumのCEOであるジェレミー・ボーウェンは次のように述べています。「過去1年は、増減するCOVID-19の感染状況、新たな変異株(最新のものではオミクロン株)、ワクチン・プログラムの国ごとの違いが課題として継続し、厳しい状況が続きました。国際的な移動の経路が再開され始めたことで、回復の兆しが見えてきていますが、Ciriumは、新たな変異株の動向を継続的に注視していきます。今回のエアライン・インサイト・レポートに含まれる価値の高い分析が、今後の状況を切り抜ける助けとなることを願っています。」
ボーウェンは次のように続けています。「Ciriumの専門家は2021年のデータを分析し、2022年とそれ以後の予測を立てました。Ciriumは、運航便座席数の急速な増加を確認しており、2022年末頃には、世界の旅客機輸送力は2015年の水準に戻ります。今回のエアライン・インサイト・レポートの中には、『2022年に注目すべき7つのこと』もまとめており、業界がこのような予測について洞察を得ることや、それを使用して市場の展開を予想したり十分な情報に基づいた意思決定をしたりすることを可能にしています。」
世界の国内線の交通量(乗客数で測定)は、乗客が着実に戻ってくることで、2022 年末までにパンデミック前の水準に戻ることが予想されます。一方、国際線の交通量は、2019年の水準の3分の2に達すると思われます。Ciriumの予測は、世界の稼働中の旅客機が2022年末までに2万700機に増加することを示しています。これは、パンデミック前の2019年末と比べて数百機少ない程度に過ぎません。
航空機を利用した出張は、これまでのところゆるやかに回復していますが、2022年には一変し、前年比36%の急増を示すと業界で予想されています。Ciriumが提供するビジネス関連のイベントのオンライン検索数などを確認できるツールによると、その検索数は来年に向けてすでに増加しています。
旅客ジェット機の貨物機への転換は増加が続き、2022年には160機の旅客ジェット機が貨物機に転換される可能性があり、この数はこれまでの転換数を上回ります。
航空機の価値とリース料金は過去12カ月に前例のない打撃を受けましたが、Ciriumのデータによると、多くの航空機機種の価値とリース料金は安定し、いくつかの航空機では改善していることから、航空機の価値とリース料金がすでに底を打っていることを示唆しています。エアバスA350型機とボーイング787型機を含む一部の機種は、来年も動向が注目されます。
Ciriumは、2022年には航空会社同士のパートナーシップがより強まると予想しています。各航空会社は需要の少ない航路については、共同運航や、自社機を運航させるのではなくパートナー会社に運航を任せることなど、パートナー各社の便を相互に利用して効率的に乗客を輸送していくでしょう。
2022年は運航便が増えることで、二酸化炭素排出量が増加することは驚きではありません。2021年のフライトからの二酸化炭素排出量は、パンデミック前を40%下回っていました。航空会社は燃料効率の高い機体を運航に戻すように取り組むなど、航空業界では持続可能性が最重要課題となっています。多くの航空会社は、燃焼効率に目を向けており、2050年のネットゼロの目標を達成する方法を模索しています。
ボーウェンは次のように述べています。「Ciriumは、航空業界が正常な状態へ戻ることによって、持続可能な旅行慣習への注目が高まる時代が訪れると予想しています。これには、機齢の若い燃料効率の高い機体が含まれ、航空機移動が地球温暖化ガス排出に及ぼす影響をより綿密に計測する能力も関係してきます。」
レポートについて
「2021 年版シリウム エアライン・インサイト・レビュー」の全文(英語)は、こちらから確認できます。
このレポートは、Cirium の専門家の分析を集めたものであり、航空会社を中心として、それを取り巻く航空業界を含めた幅広い話題を取り上げています。レポートの内容は以下の通りです。
- 2021 年の上位の運航経路と空港
- 世界の旅客移動、旅客機輸送力、フリートの現状
- 航空業界の持続可能性イニシアチブ
- 新興航空会社と 2021 年の新規運航経路
- 主要市場の平均的な航空運賃
- アジア太平洋と中南米への注目
本プレスリリースの公式バージョンは、オリジナル言語版です。翻訳言語版は、読者の便宜を図る目的で 提供されたものであり、法的効力を持ちません。翻訳言語版を資料としてご利用になる際には、法的効力 を有する唯一のバージョンであるオリジナル言語版と照らし合わせて頂くようお願い致します。