Oliver Clark、Cirium Dashboard 航空機ファイナンスエディター
Ciriumのデータによると、機材リース会社は、EUの制裁措置により設定された3月28日(月)の最終期限に従ってロシアの航空会社との契約を正式に解除したものの、機材の回収についてはあまり成果を挙げられなかったようです。
SMBC Aviation Capital、 AerCap、Avolon、CDB Aviationなどが加盟する航空機リースの業界団体であるAircraft Leasing Ireland (ALI)は、3月28日(月)時点で、加盟全28社が、EUが提示した通り、その割り当てられた期間内で制裁措置に従ってロシア系航空会社の航空関連資産のリースを終了したと述べています。
「ロシアでは前例のない出来事が起きており、それは今も深刻化しています。リース会社はここ数週間、機材回収の点で厳しい状況下にあり、現在までにあまり成果を挙げられていません」と、ALIは付け加えています。
ALIは今後数週間、加盟各社と緊密に連携し、業界団体として関係当局と情報のやり取りを続けるとしています。
Ciriumのデータ分析によると、3月29日(火)の時点で、西側諸国のリース会社が所有または管理し、ウクライナ紛争前にロシア系航空会社に貸与された515機のうち、79機が回収されたか、または紛争開始時には既にロシア国外に存在していました。AerCapは、1機のボーイング777-300ERの回収に成功し、その機材は3月27日(日)にタルブに着陸しました。
既に別の司法管轄に登録されていた世界フリートの計35機が、ロシアに再登録されたと考えられます。これは、ICAOシカゴ条約の第31条に違反した行為です。この35機のうち、31機は英領バミューダから、残りの4機はアイルランドからそれぞれ再登録されたものです。
515機の残りの機材のうち、261機は稼働中とみられ(ロシア国内で過去7日間に運航されている)、176機は過去7日間、同国内に駐機されていました。
紛争開始時におけるロシアの商用フリート計981機のうち、18機はアイルランドからロシアに再登録され、121機はバミューダからロシアに移動しました。
ISTAT(国際輸送航空機貿易協会)が3月22日(火)に開いたウェビナー会議で、エアキャッスルのチーフ・リーガル・オフィサーであるChristopher Beers氏は、リース会社が機材を回収して損失の補償を確保するための取り組みは「長期的な戦い」になるだろうと語りました。
「肝心なのは、私たちがこの問題を解決するには時間が必要だということです。しかし、おそらく解決はされるでしょう」と、彼は話しました。「保険業界や保険会社、そして政府が一致団結して、皆が無傷で済むような方法を見つけ出せることを期待しましょう。」
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