太平洋横断市場はパンデミック前の水準に戻りつつあるのか?
北米―東アジア間の航空市場は、ここ十年間で急成長しました。Diio by Ciriumのデータによると、航空会社は2010年、北米と東アジアの両地域間で106,000便以上のフライトを運航しました。そして2019年には、フライト数は176,000便を突破しました。
残念ながら、この成長は世界を襲った新型コロナウイルスのパンデミックにより妨げられ、2020年には60,000便程度にまで落ち込みました。翌2021年には、東アジアの飛行機利用に与えるパンデミックの影響がより深刻化する中、年間フライト数はさらに減少して約37,000便になりました。2022年の全体像がどうなるかを語るのは早計ですが、今年第3四半期だけを見ても、北米と大中華圏、日本、韓国を結ぶフライトの便数は、2019年の水準からなお60%以上も減少しています。
2019年まで遡ると、太平洋横断路線のフライト数が最も多い航空会社はユナイテッド航空でした。それは、必ずしも悪いことではありませんでした。パンデミック時、これらの太平洋横断路線は、貨物輸送部門にとっては最大級の収入源になったからです。しかし、旅客に重きを置いた運航は大きな影響を受けました。太平洋横断路線のフライト数を測定したランキングにおいて、2位以下に続いたのは、デルタ航空、日本航空、大韓航空、全日空、キャセイパシフィック航空、エア・カナダでした。中国国際航空のような中国本土の航空会社は、上記の上位航空会社とそれほど大きな差はありませんでしたが、二国間の航空協定によって、そのキャパシティはより制限されたものとなりました。中国とアメリカ、カナダとの間では、オープンスカイ協定は締結されていないのです。
太平洋横断市場で最も利用者が多かったのは、ハワイ行きやグアム行きなどのレジャー向け路線が中心で、その出発地の多くは日本となっています。これらの島嶼市場を除くと、単独で最も利用者の多い路線は、以下に示したように、ロサンゼルス―東京線です。現在でも、アメリカ本土と東アジアを結ぶ最も利用の多い路線となっています。実際、この夏に最も利用者の多い太平洋横断路線には東京、ソウル、台北のいずれかが含まれており、香港、北京、上海などの市場は、依然として厳しい渡航制限の影響を受けています。
太平洋横断市場の将来は、こうした渡航制限がいつ緩和されるかに左右される面があります。特にアメリカ―中国線市場は、両国の経済的・政治的関係の影響も受けます。一方、ハワイなどの島嶼部では、日本を含む東アジア地域からの観光客が大量に回帰する日を心待ちにしています。
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