筆者: Harshita Shishodiya – Regional Sales Engineer (EMEA) at Cirium, Mike McCormick – Head of Business Development at 3Victors and George Jebran – Head of Data Science at 3Victors
ショッピングデータは情報の宝庫であり、旅行者の志向や旅行トレンドを知る上で貴重な指標となります。このデータから得られる有益なインサイトは、旅行関連業界の企業が潜在的利益を最大化するのに役立ちます。当然ながら、検索データはますます今、旅行ビジネスの収益モデルや旅行者の志向データの不可欠な要素となってきています。
消費者が生成する豊富なデータは、把握することが困難な場合があります。しかし、3Victorsが提供するCirium Demand Viewのようなツールを使えば、旅行業界は、旅行者の志向性を容易に把握できるようになり、価格モデルを最適化することで高需要期を逃さずに活用することが可能になります。私たちは、FIFAワールドカップ2022の検索動向をリアルタイムで監視するための、情報量が多く、インタラクティブで視覚化しやすいダッシュボードを開発しました。
ショッピングデータのパワーの源は、入力検索パラメータにあります。それぞれの検索クエリによって、顧客の旅行行動に関する特定の属性が明らかになるのです。
では、最もよく使用される入力検索パラメータを例に説明します。
出発地、目的地、出発日。これらは、目的地に基づく旅行需要パターン、典型的な旅客移動(トラフィック)の流れ、旅行選択の季節性などを示しています。航空会社は通常、公示されている祝日やその他の重要なイベントに基づいて毎年、「ピークシーズン」の時期を割り出しています。航空会社は現在、ますますショッピングデータに依存するようになっています。これは、ショッピングデータと旅行日の両方を特定することにより、従来の季節カレンダーを補完するためです。
ショッピング日。このパラメータは、出発の何日前に検索を行うかを判断するものです。価格に敏感な旅行客はかなり早い段階から買い物をする一方、価格に無頓着な出張旅客は出発日の直前に買い物をします。
乗客数。これも、「顧客セグメント」の重要な識別子です。夏休みに家族4人で飛行機を利用するのは、典型的な休暇中のトラフィックといえます。日曜日の午前中にドバイからリヤドへ飛ぶ一人旅の乗客(出発2日前に予約)は、「法人」のトラフィックとみなされることになります。
滞在期間。これは、航空会社やオンライン旅行代理店(OTA)が、選択した旅程の運賃を定義するために使用する推測指標です。航空会社は、ある運賃の最短滞在期間と最長滞在期間を定義し、それによってその運賃が有効な滞在期間のバケットを作成します。例えば、シンガポールから出発する乗客が週末にバリ島に滞在する場合、その運賃は5日間滞在するよりもほぼ間違いなく高く設定されるでしょう。というのも、シンガポール在住の人は週末だけバリ島に行くことが多く、5日間もいる人はそれほど多くないからです。
航空会社が乗客の買い物行動から得られる重要な洞察に基づき、運賃やネットワークスケジュールを最適化し得ることを示すもう一つの例は、カタールで開催されたFIFAワールドカップ期間中の買い物行動が絶えず変化したことです。
カタールでは、サウジアラビアがアルゼンチンに快勝し、ドイツがグループステージで敗退するなど、衝撃的な番狂わせが起きました。こうした予想外の結果が、乗客の買い物行動にも影響を与えていました。例えば、サウジアラビアがアルゼンチンに2-1で勝利した後、サウジアラビア発カタール行きのフライトについて調べる検索の件数が68%増加しました。同様に、サウジアラビアがこのワールドカップで敗退した後には、検索数は80%以上減少しました。
データは、どのようなビジネスにおいても重要な役割を果たします。Ciriumは3Victorsとパートナーシップを結び、将来の旅行需要を分析し、新たなビジネス機会を特定することで、旅行関連業界が強力なショッピングデータを活用することを積極的に支援しています。