筆者:(Scott) Yuanfei Zhao, Senior Aviation Analyst at Cirium Ascend Consultancy
航空機のOEMによると、またさまざまなメディアで取り上げられ、広く報道されてもいるように、新世代機は通常、先行世代機よりも燃費が15~20%向上しています。これはすなわち、ボーイングの「Max対NG」、エアバスの「neo対ceo」の構図となります。しかし「燃費が15~20%向上」とは言っても、これは理論上の数値であり、特定の条件下でしか達成できません。
航空機の燃料消費量は、ブロック(出発時の機材自走開始から着陸後の停止まで)の距離、タキシング(地上走行)の時間、座席配置、運航環境など、運航上の要因の影響を受けるため、これを正確に算出することは大きな課題です。
CiriumのGlobal Aircraft Emissions Monitorモデルでは、こうした課題にうまく対応しています。このモデルでは、最も包括的な社内データセットに裏打ちされた航空機の性能および燃料消費に関する専門知識を総合することにより、世界のフリートの燃料消費量とCO2排出量を可能な限り正確に算出します。本稿で私たちは、この排出量モニターモデルのデータに基づく燃料燃焼性能に焦点を当てることにします。
その知見は、さまざまな方法で分析することができます。例えば、737Maxと737NGとの間、A320neoとA320ceoとの間でそれぞれ燃料性能を比較することが可能です。より理解しやすくするために、私たちはいくつかの主要な航空市場から、新・旧両方の世代の機材を運航している航空会社のグループを選び、それらの航空会社の新・旧世代機フリート間で燃費を比較することにしました。分析データは、今年6月15日から30日までに追跡された全フライトをもとにしています。
上のグラフに示されているように、ほとんどの航空会社において、MaxのフリートはNGのフリートに比べて燃費が10~13%程度向上しています。ティーウェイ航空のMaxとNGとの間の燃費向上率は、サンプル航空会社全体の平均的な水準よりも高いことが分かります。
一方で、6月15日から30日の間に追跡されたサンプル航空会社の全フライトの飛行距離データも、不一致の原因を理解する手段として分析しました。その結果、ティーウェイのMAXフリートの1機あたりの平均飛行距離は、NGフリートより2.5倍以上長くなっていることが分かりました。同社のMAXとNGの平均飛行距離の差は、全サンプル航空会社の中で最大でした。
他の例では、ターキッシュ エアラインズのMaxフリートの1機あたりの平均飛行距離はNGフリートより2倍以上、エチオピア航空のMaxフリートの1機あたりの平均飛行距離はNGフリートより60%、それぞれ長くなっています。これとは反対に、大韓航空については、NGフリートがMAXフリートより60%以上長くなっています。それにもかかわらず、これらの航空会社におけるフリート間の燃費の差は、単に平均的な水準内に収まっています。
エアバスの方を見ると、ほとんどの航空会社のneoフリートは、ceoフリートよりも燃費が14~17%向上していました。neoとceoの間の燃費向上率は、MAXとNGのそれよりも概して大きいことが分かります。潜在的な原因を理解するため、エアバスについてもサンプル航空会社の平均飛行距離データを分析しました。
neoフリートとceoフリートで平均飛行距離に最も差があるのはエア・インディアで、neoフリートはceoフリートよりも平均54%ほど長くなっています。
全体的には、ボーイングのサンプル航空会社では、Maxフリートの平均飛行距離が1,750km超、NGフリートの平均飛行距離が1,350km超であるのに対し、エアバスのサンプル航空会社では、neoフリートの平均飛行距離が1,350km超、ceoフリートの平均飛行距離が1,200km強となっています。1飛行時間あたりのトン数で測定した1機あたりの平均燃料消費量は、Maxが2.16トン、NGが2.45トンで、Maxの燃費は平均13%向上しています。neoについては2.09トン、ceoについては2.47トンで、neoの燃費向上率は平均18%でした。
直感的には、エアバスはボーイングと比較して、新世代機が旧世代機よりも良好に燃費向上を達成しているように見えます。今回の分析シナリオでは、エアバスが燃費比較において勝利したわけですが、その主な要因は、新世代機であるneoの燃費が、Maxより3.3%ほど向上したとみられる点にあります。
しかし、だからといって、どのような場合でもエアバスのneoがボーイングのMaxより燃費がよいとは限りません。
座席配置やロードファクター(有償座席利用率)、Maxのセクタ長が著しく長いことなど、その他の要因も考慮した上で、分析する必要があります。
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