国際航空会社の経営陣からはここ数年、各社独自の最新アプリや、環境に優しいフリート、あるいはより楽しめる機内エンターテイメントの提供について発表がされてきました。これらのプロジェクトは、ビジネスや観光目的の旅行者をはじめ、ソーシャルメディアや、さらにはウォール街でも反響を呼びました。
しかし2020年に入ると、貨物事業が最前線に躍り出ることになります。
貨物事業からの収入が自社にとってどれほど重要かを航空各社の経営陣はかねてから認識していましたが、それが新型コロナウイルスによって前面に押し出されたのです。コロナ禍のピーク時には、客席には乗客の代わりに、貨物がベルトで固定されるようになりました。当初運ばれたのはマスクや手袋といった個人用の防護具などの医療関連用品でした。Ciriumでは実際に、エコノミークラスの座席(と搭載されていた機内エンターテインメントシステムの配線)が完全に取り外された旅客機、約200機を追跡しました。その結果、貨物を搭載した座席撤去スペースと、機体内部の貨物室には、すでに貨物が満載されていたことを確認できました。旅客数が空前の落ち込みを記録するなかで、貨物事業は貴重な収入を得る機会をもたらしました。
昨年は、貨物輸送事業者にとってはブームの年でした。彼らはコロナ禍以前には、取扱量の減少に直面していました。私はハワイ拠点の航空会社であるアロハエアカーゴの社長を務めた経験から、これらの難局を、身をもって知っています。アロハエアカーゴは、ハワイの島々を結ぶ命綱です。当時はeコマースが普及していなかったにもかかわらず、食料のパンから撮影班の機材、果ては映画『Tropic Thunder』(2008年公開。邦題:トロピック・サンダー/史上最低の作戦)で登場する水牛まで、あらゆるものを運びました。アロハエアカーゴのような航空会社は2020年、それまでよりも取扱量が急増したことで、業績の好転を目の当たりにしました。
コロナ禍によって、航空貨物による打開策がいかに状況に柔軟に適応し救いの手となるか、そしてこの種の輸送手段が私たちにとっていかに重要なのかが明らかになりました。後述しますが、IBMの試算によると、コロナ禍によりeコマースの成長はおよそ5年分加速しています。それがもたらす広範にわたる押し上げ効果だけでも、航空貨物事業者、航空機メーカー、航空機リース会社にとって追い風となっています。加えて、インフラや製造サポートに対する大規模なグローバル投資が複数発表されています。航空貨物は、これらの大型投資の遂行にあたって必要な輸送を行うための、最も柔軟で適応性のある、リアクティブな解決策です。航空貨物セクターのコロナ禍後の展望は、非常に明るいといえます。
本レポートでは、航空業界で入手できる最も包括的なデータセットである「Cirium Core」から得られた貨物市場に関するインサイトを提供するほか、最新動向を把握するための、Ciriumの担当チームによる分析結果をご紹介します。また、今日の航空貨物事業をめぐる環境のなかで、持続可能な成功を収め、リスクを最小化しながら成長を生み出すことを目的とした、8つのデジタルトランスフォーメーションの取り組みを、Ciriumの専門家が特定しています。
このレポートは、航空貨物の成長がもたらすチャンスを最大限に生かしたいと考える経営層の皆様にとって、必読書となるでしょう。
Mike Malik
Cirium 最高マーケティング責任者(CMO)
Mikeは、Aerobrandの顧問団の一員で、アロハエアカーゴの元社長です。
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