- 世界の航空会社300社のうち180社以上が2020年2月以降に定時到着率90%以上を達成
- 2020年には、アトランタが世界で最もフライト数が多い空港となり、シカゴ・オヘアに代わり首位に立ちました。運航フライト数では、中国の3空港が一躍世界の上位10空港に入りしました。
- パンデミックの最中でも、中国の旅客機フライトは76%が運航されました。フライト数が大きく減少したのは米国(58%)、インド(50%)、英国(33%)でした。
- 2020年に最も多くのフライトを運航したのはサウスウエスト航空で、中国南方航空、中国東方航空、中国国際航空が順位を上げて上位10社に入りました。
世界的航空データ企業Cirium(シリウム)の新しい報告書によれば、2020年に主要な世界的航空会社の180社以上が定時運航を行いました。「2020年シリウム航空会社インサイト・レビュー」は、パンデミック以前にこの基準を達成した主要航空会社がわずか30社だったことを示しています。しかし、60%以上(世界の航空会社300社のうち180社)の航空会社が2020年2月以降に定時到着率90%以上に到達しました。
COVID-19の影響により運航フライト数が減少したことで、世界的航空会社上位300社の定時運航率は大きく改善しました。2020年に航空会社が運航したフライト数は、前年のわずか半数でした。
シリウムのジェレミー・ボウエン (Jeremy Bowen) 最高経営責任者(CEO)は、次のように述べています。「パンデミックはフライト数の大幅な減少を引き起こし、2020年に航空会社が運航したフライトは49%減となりました。空港の混雑など、フライトの遅延を招く通常の要因は発生しませんでした。2020年には、世界全体の旅客機乗客数は前年比で67%減少しました。」
シリウムの運航フライト数トップ10カ国リーグ表によれば、米国市場は前年比42%減であったにもかかわらず、フライトの多くは米国内での運航でした。中国市場のフライトは2019年に比べて24%減にとどまったことで、中国は順位を保ちました。
日本は、インドを追い越して第3位に順位を上げました。インドのフライト数は、2019年に比べて50%減となりました。英国は、フライト数が前年比で67%減少して大きな打撃を受けたため、第5位から8位へと順位を下げました。ロシアは2019年の第10位から2020年には第5位に上がり、インドネシアは上位10位に入りました。
2020年の旅客機フライト数による上位10カ国 |
||||
順位 |
国 |
2020年の合計フライト数 |
2019年の順位 |
前年比(%) |
1 |
米国 |
510万 |
1位 |
-42% |
2 |
中国 |
340万 |
2位 |
-24% |
3 |
日本 |
63.8万 |
4位 |
-43% |
4 |
インド |
59.2万 |
3位 |
-50% |
5 |
ロシア |
48.6万 |
10位 |
-34% |
6 |
ブラジル |
38.2万 |
9位 |
-53% |
7 |
スペイン |
35.2万 |
7位 |
-61% |
8 |
英国 |
34.0万 |
5位 |
-67% |
9 |
インドネシア |
33.3万 |
12位 |
-53% |
10 |
メキシコ |
33.2万 |
15位 |
-44% |
出典:シリウム・コア、フライト追跡データ(旅客機フライト – ナローボディー機、ワイドボディー機、リージョナル機)、期間:1月1日~12月31日、記録日:2021年1月1日 |
2020年に、アジア太平洋の航空会社は世界の競合企業と比べてはるかに早く回復し、運航フライト数で順位を上げました。世界的航空会社の上位10社の中では、中国南方航空の旅客機フライト数は2019年に比べてわずか28%減でした。上位10社の中で最も大きな影響を受けたのはユナイテッド航空で、運航フライト数が2019年比で54%減となりました。
欧州の航空会社は、どこも2020年の上位10社に入りませんでした。ライアンエアは、運航フライト数が前年比で72%減少したことで第13位(前回第6位)に下がりました。ルフトハンザは2019年には第11位でしたが、2020年の運航フライト数は69%減となったため、今年の上位10社には入らず、第29位となりました。
2020年の旅客機フライト数による航空会社上位10社 |
|||||
順位 |
航空会社コード |
航空会社 |
2020年の合計フライト数 |
2019年の順位 |
前年比(%) |
1 |
WN |
サウスウエスト航空 |
89.6万 |
1位 |
-34% |
2 |
AA |
アメリカン航空 |
62.2万 |
3位 |
-44% |
3 |
DL |
デルタ航空 |
61.9万 |
2位 |
-46% |
4 |
OO |
スカイウエスト航空 |
59.7万 |
4位 |
-30% |
5 |
CZ |
中国南方航空 |
52.1万 |
7位 |
-28% |
6 |
UA |
ユナイテッド航空 |
37.2万 |
5位 |
-54% |
7 |
MU |
中国東方航空 |
32.1万 |
9位 |
-33% |
8 |
CA |
中国国際航空 |
31.2万 |
10位 |
-30% |
9 |
6E |
インディゴ |
28.1万 |
8位 |
-45% |
10 |
YX |
リパブリック航空 |
21.7万 |
15位 |
-37% |
出典:シリウム・コア、フライト追跡データ(旅客機フライト – ナローボディー機、ワイドボディー機、リージョナル機)、期間:1月1日~12月31日、記録日:2021年1月1日 |
ボウエンは、次のように述べています。「国内旅行は回復が早く、国内線市場で優勢な航空会社の方が迅速に復活しています。より順調に回復しているアジア太平洋で、特にその傾向が顕著です。米国と欧州では、政府が施行した規制とCOVID-19のさらなる感染の波が旅行に与えた影響による後退が見られます。」
旅行規制と、ビジネス旅行からレジャー旅行への移行が、運航フライト数トップ10空港リーグ表を大幅に変えています。
シカゴ・オヘアは通常、世界で最も多く旅客機フライトを受け入れている空港ですが、パンデミックにより2020年のフライト数は46%減少しました。中国の3空港(広州白雲、成都双流、深圳宝安)が旅客機フライト着陸回数による世界の上位10空港に入りました。
2020年の旅客機フライト数による上位10空港 |
|||||
順位 |
空港コード |
空港 |
2020年の合計フライト数 |
2019年の順位 |
前年比(%) |
1 |
ATL |
アトランタ(米国) |
26.0万 |
2位 |
-40% |
2 |
DFW |
ダラス(米国) |
23.5万 |
3位 |
-30% |
3 |
ORD |
シカゴ(米国) |
23.4万 |
1位 |
-46% |
4 |
DEN |
デンバー(米国) |
20.2万 |
5位 |
-32% |
5 |
CLT |
シャーロット(米国) |
18.2万 |
7位 |
-32% |
6 |
CAN |
広州(中国) |
16.5万 |
13位 |
-28% |
7 |
LAX |
ロサンゼルス(米国) |
15.6万 |
4位 |
-50% |
8 |
CTU |
成都(中国) |
14.8万 |
37位 |
-16% |
9 |
SZX |
深圳(中国) |
13.9万 |
42位 |
-16% |
10 |
SEA |
シアトル(米国) |
13.7万 |
18位 |
-36% |
出典:シリウム・コア、フライト追跡データ(旅客機フライト – ナローボディー機、ワイドボディー機、リージョナル機)、期間:1月1日~12月31日、記録日:2021年1月1日 |
2019年では、ロンドン・ヒースローが世界で9番目に運航フライト数の多い空港でした。2020年には第31位となり、同空港を利用したフライトは2019年に比べて61%減となりました。欧州で最も運航フライト数が多かった空港は、アムステルダム・スキポールでした。2020年には、同空港を利用したフライトは57%減少し、世界で第27位となりました。
飛行機旅行業界へ詳しい知見を提供する2020年シリウム航空会社インサイト・レビューには、シリウムによる2020年定時運航レビューが含まれています。
2020年シリウム航空会社インサイト・レビューの全文をご覧になるには、こちらをクリックしてください。
以上
編集者への注記:
旅客機フライトの運航データは、一定の基準に基づいており、航空機市場で機体がナローボディー機、ワイドボディー機、リージョナルジェット機に分類される定期運行の旅客機フライトのみ(貨客混載のコンビネーション・フライトも含む)が対象です。貨物便やビジネス・ジェット機などの他の種類のフライトや不定期運航便は含まれていません。