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Ascend Consultancy, 航空専門家の視点

Ascend Consultancyによる今後の展望:ビジネス航空業界における2022年の見通し

February 9, 2022

ビジネス航空は2021年、大きく飛躍しました。今回は、この業界の今後1年間の予測と見通しについて考察します。

Syed Zaidi, Ascend by Cirium

Syed Zaidi(Ascend by Cirium主席航空アナリスト、ASA上級鑑定士)

ビジネス航空は2021年、大きく飛躍しました。2020年半ばにパンデミックがもたらした低迷期を脱し、事業基盤はますます強靭になってきています。

2022年に入った今、今後1年間の予測と見通しについて考察します。 パンデミックが民間航空業界に打撃を与え続ける中、ビジネス航空は、煩わしさがなく安全な旅行手段として好調さを保ってきました。

その市場価値は、2021年を通じてかなり力強い伸びを示した後、2022年にはいくぶん安定化すると私たちは予想しています。市場価値が論理的に予測できる範囲を超えて(継続的な供給や需要の動向を踏まえて)引き続き増大した場合には、いわゆる”バブルの領域”に入っていく可能性があります。

既に、一部機材の価値は横ばいになっています。当社では近いうちに、さらなる分析を行う予定です。私たちは、より幅広い機関投資家がこのセクターに注目していることを認識しています。Ascend by Ciriumはそうした投資家に対し、当社のValue Times Series製品を含めて助言を行い、世界金融危機(GFC)以前の歴史的な価値を評価できるようにサポートしています。重要なのは、以前の景気低迷期とは対照的に、投資家が引き続き自制心を保ち、市場価格を超えた対価で取引される高額機材への投資を渋っていることです。

二次市場における活動は、2021年を通して非常に順調でしたが、今年になってさらに成長する可能性は低くなっています。その要因は、顕著な需要の落ち込みというよりもむしろ、機材の供給が限られている点にあります。チャーター便や副次的な役割に使用される共用フリート部門は、ビジネスジェット旅行の需要増に対応して伸び続けています。期待される通り、パンデミックがより対処可能なものになりそうであれば、企業経営者らの需要の一部も戻り始める可能性があります。また、パンデミックを通して低迷したままとなってきた北米以外の市場でも需要が戻るかもしれません。私たちは、ブローカーが機材の在庫を確保するためには、ここ1年間よりもさらに工夫する必要が出てくると見込んでいます。

ビジネスジェットの利用は、GFC前以降には見られることがなかったような活況を呈してきています。このことは、フリートの規模の点では限定的な成長ぶりではありながらも、チャーター需要の増大により、個々の機材の利用が増大する傾向を示しています。この需要増は、一部のチャーター料の改善にも結びつく可能性もあります。しかし、その上がり方は、依然として控えめなものにならざるを得ないでしょう。なぜなら、運航中の民間航空会社から流れてくる多くの新規顧客は、運賃により敏感になる可能性があるためです。それでも、私たちは、フリートの利用率はなお低いままであるだろうと感じています。2021年11月にThought Cloudで公開した記事「アメリカのビジネスジェットのフライト活動は好調であるものの、フリートの利用率は低いのか?」をご覧ください。

機材メーカーの観点から見ると、BBレシオは、年末までには再び「1」に近づく可能性が高くなっています。これは、運航を始める新型機だけではなく、現行機種の納入も増えているためです。しかし、世界のフリート全体の利用率が上昇し、低機齢の中古機材の供給が最小限に抑えられると、需要は新規の受注機材に流れる可能性があります。機齢の高い引退間近の機材が、老朽化の兆候を見せ始めて、大規模なメンテナンスが必要となり、それが新型機の購入を促す可能性があるためです。世界の供給の連鎖的な不足状況が、生産率の大幅な上昇を妨げ続けています。このため、供給が抑制され、新たな価格決定に対するメーカーの支配力が強まっているのです。リスト価格からの値引きは既に抑えられ始めており、新規に納入された一部の機材は、即時に取引可能になっているために、メーカーのリスト価格より高い価格で販売されています。

コロナ禍で他のいくつものセクターが、ダメージを必要最小限に留めようとする“ダメージコントロール”のモードになっています。それにもかかわらず、ビジネス航空業界のサステナビリティへの決意には揺るぎないものがあり、業界内の関係企業が一丸となって、持続可能な航空ジェット燃料(SAF)やカーボンオフセットを活用した二酸化炭素排出量の全般的な削減に対し、継続的に取り組んできました。さらに、機材メーカーは、現行生産機材のすべての使用燃料をSAFに転換するための努力を続けており、エンジンの効率性を高めつつ、開発中の機材にSAFを積んで、フライト試験の各種プログラムを実施しています。業界団体は、今後もSAFのさらなる生産に向けてまい進を続け、この燃料タイプの利用可能性を高めようとしています。

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