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Ascend Consultancyによる今後の展望:A330neoが中国にやってくる?―適合性の分析
最近の市場動向をみると、人気の高いツインアイルタイプのA330ceoの後継機であるA330neoが、中国に導入される可能性が出てきています。
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筆者:Yuanfei Zhao (Scott), Senior aviation analyst, Cirium Ascend Consultancy
最近の市場動向をみると、人気の高いツインアイルタイプのA330ceoの後継機であるA330neoが、中国に導入される可能性が出てきています。ブルームバーグが6月に発表したリリースによると、エアバスと中国の航空会社の間で、100機以上のA330neoの売却に向けた話し合いが進められています。エアバスはこの協議についてまだ正式に認めていませんが、市場関係者はさらなる進展を待っているところです。
この機種が中国市場に導入される可能性に今、関心が集まっているのです。コストと性能の観点から言えば、A330ファミリーは主に短・中距離の高密度路線向けに設計されており、A350のような類似タイプの機種と比べて競争力のある価格設定となっています。Ciriumのデータでもこうした特性が示されています。トレント(Trent)のエンジンを搭載したA330-900neo(2024年1月製造、追加の仕様なし)のフルライフの推定市場価値は約1億700万ドルです。これに対し、A350-900は同様の条件で1億5800万ドルとなっています。
この価格戦略により、A330neoは長距離路線で運航できるにもかかわらず、特定の市場セグメント内において、単価、運航経費、性能バランスの点で有利に位置づけられています。
このような特徴は、A350や787、777のような長距離路線を最大のターゲットとする他の主要ツインアイル機とは明らかに異なります。
下のグラフは前述の航空機について、2015年以降、中国系航空会社による中国発全便の運航機種ごとの平均ブロックレンジ(航空機が動き出してから停止するまでの距離)を示しており、国内線と国際線の両方を網羅しています。
中国系航空会社のA330ceoフリートの平均ブロックレンジは2,250kmである一方、A350は2,530km、787は2,920km、777は3,780kmとなっています。
このことは、A330ceoフリートが中国の他の主要ツインアイル機と比べて平均的に短い路線で運航されているというだけではなく、中国の航空会社が運航する他の長距離路線向け機種の平均ブロックレンジも、ceoフリートと比較してそれほど長くないことを裏付けています。
2015年から2023年にかけて中国の航空会社が運航したフライトを分析したところ、5,000kmを超えるフライトはわずか14%であることが判明しました。このような状況を踏まえると、中国の航空会社にとっては、大半の短・中距離路線でA330をより多く利用することが、経済的には賢明であるように見えます。
フリート計画の視点から見ると、中国で稼働中および駐機・保管中の212機のA330ceoのうち、33機(全フリートの15%)の機齢が現在15年以上となっています。
これらの機材は、10年後までにフリート計画に基づく決断を迫られる可能性が高くなっています。加えて、当該A330ceoフリートの約22%は、中国国外で登録された中国系ファンドの支援を受けるリース会社を含む外国リース会社との間でオペレーティングリース契約を結んでいます。
リース満了時のリース機材の運命は、不確実性に大きく左右されます。リース会社は、リースを延長するか、より有利な市場に機材資産を移転させるか、より良い価値を引き出すために機材を退役させてパーツアウトするか、あるいは市場の実勢に基づいて旅客機から貨物機に転換(コンバート)するかについて、柔軟に決定できるからです。
要約すると、A330ファミリーの機材のコストと性能の特性は中国市場に合致しており、資産単価、運航コスト(座席数ベース)、機種・ルート適合性のバランスの取れた組み合わせを提供しています。中国系航空会社が長期的にA330フリートを維持または拡大するつもりであれば、新世代のneoを想定した計画立案に着手することが望まれます。しかし、その際の主な考慮事項としては、機材納入枠の不足とOEMの生産率の制約が挙げられます。この制約があるため、10年後までにA350や787といった機材の納入枠を確保することが事実上不可能になってしまっているのです。A330neoのオーダーブックが比較的少ないことから、この10年間に納入できる枠はなお一定程度、確保できる可能性はありますが、その数は多くないとみられます。
その結果、新型A330neoがリプレースまたは納入増を通して中国系航空会社の大規模なフリートとして定着するのは、受発注契約が速やかに確定、成立したとしても、10年後以降になるかもしれません。