ヨーロッパ―東アジアの航空市場の現状は?
COVID-19は現在も私たちに好まざる現状を突きつけていますが、航空業界への影響は、国際線も含め、多くの市場で低下しつつあります。たとえばヨーロッパ―北米間では、今年のフライト数を、CiriumのDiioシステムを使ってパンデミック前の通年の最新データとなる2019年のフライト数と比較した場合、その低下率は14%にまで回復していました。このデータを今年の第4四半期に絞った運航スケジュールで比較してみると、2019年同期比はわずか3%減となります。
しかしヨーロッパ―東アジア間となると、この状況は大きく異なります。ここで述べる東アジアとは、大中華圏、日本、韓国、アセアン10国(シンガポール、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、タイなど)を指します。この市場での今年の予定されたフライト数は、2019年より70%も少ない状態にあります。第4四半期だけを見ても、低下率は58%です。
ヨーロッパ―アジア市場の復活を妨げている大きな要因は、北アジア、特に中国の渡航制限が現在も続いていることです。加えて、大半の航空会社に対してロシア上空の飛行が禁止されているため、ヨーロッパ―アジア間のフライトは以前より時間もコストもかかるものになっています。
以下の表からわかる通り、現在、東アジアとヨーロッパを結ぶ最大の航空会社は、ヨーロッパ11都市とチャンギ国際空港を直行便で運航するシンガポール航空です。トルコ航空と同様、シンガポール航空も、ヨーロッパ―アジア間市場のフライト数を他の航空会社ほど大きくは縮小しませんでした。一方、以前はこの市場最大の航空会社であったルフトハンザグループは、そのフライト数をCOVID-19以前の3分の1にまで縮小しています。
ヨーロッパ―東アジア市場でフライト数の多い航空会社(現在とパンデミック前の比較)
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