民間航空業界は今、混乱と変革の時代を迎えています。パンデミック後に旅行需要が回復する中、空港のオペレーションが以前よりも不安定になり、遅延やキャンセルが相次いでいることが判明しています。同時に航空業界は、2050年までにネットゼロエミッションを達成するという誓約に取り組まなければならず、その目標を達成するためには単一の技術では間に合わないことから、広範囲におよぶ変革の必要に迫られています。
一方、電気推進や自律誘導システム、あるいはその両方を活用した新しいタイプの航空機も増えています。先進的エアモビリティ(AAM)セクターは、空路で人や貨物を移送する新しい方法を導入し、都市や農村の新しい環境に航空輸送を取り入れています。AAMメーカーが受注や契約(英語)の件数を増やして話題を集める一方、航空輸送におけるドローンの実用化の動きは広がっているものの、無人航空機への対応に必要なインフラはなお開発途上にあります。
無人交通管理(UTM)システムは、無人航空機システム(UAS)の空域への統合を促します。これにより、参加者間のデータ伝送が可能となり、より複雑な航空輸送システムに、安全性を損なうことなく対応できる運用フレームワークが確立されようとしています。UTMは、航空輸送システムにおける新たな効率性の獲得と応用法の拡大を約束するものであり、より幅広いAAMセクターの発展を可能にする上で重要な役割を担っています。
CiriumはUTM分野の最前線に立ち、エコシステム全体のパートナーと協力して画期的な研究を支援し、データと専門知識を提供しながら、ドローンの活用を加速させるためのソリューションを開発しています。
最先端のATOMICUSプロジェクト
Ciriumは現在、無人交通管理の専門知識を応用し、データ研究と製品のイノベーションを通して、 電動垂直離着陸機(eVTOL)とドローンのコンセプトの開発を推し進めています。
高度運航組織および自動制御貨物無人操縦システム(ATOMICUS=Advanced Traffic Organization and Management of Intelligent Cargo Unmanned Systems)は、空港で従来の旅客機と並んで商用ドローンの利用を可能にすることを目指す研究開発プロジェクトです。このプロジェクトでは、デジタルインフラと運用手順の作成と実証、データ交換のためのフレームワークの構築のほか、英国内および国際間の標準化手法のサポートを行っています。
また、商業的に実現可能なユースケースに焦点を当てて、空港での「整備、修理、オーバーホール」(MRO)作業のためのスペアパーツなど、時間に敏感な貨物を配送する際のドローン活用の確立を目指しています。ドローンをMROに使用することができれば、「航空機の地上待機」(AOG)の状態での遅延を減らし、航空会社のコストを削減するとともに、道路から交通量を除去できるという点で、大きな可能性が開けます。
ドローンによって航空機部品配送のビジネスケースを確立
このプロジェクトの初期の調査結果では、航空機部品の物流にドローンを使用することにより、コストと輸送時間の両面において著しく効率化されることが示されています。英Connected Places CatapultとCiriumが共同で行った調査では、単一の中心地点から英国内の複数の国際空港までの機材パーツの輸送で比較した場合、ドローンを使用すると時間とコストの両面で50~60%の効率化が見込まれ、一部の個別ルートではコスト削減率が80%に達することが明らかになっています。また、空港にもよるものの、無人航空機(UAV)を使った物流では、積載量1kgの場合、年間を通して370万~1150万ポンドの節約になると報告されています。
9月30日には、英ウェールズのセントアサン空港、ハワーデン空港、カーディフ空港間で模擬飛行試験を行い、システムやワークフローをテストし、空港とメンテナンスハブとの間のAOGのユースケースを実証する予定です。
ATOMICUSコンソーシアムは、10月26日にConnected Places Catapult社ロンドンオフィスのアーバン・イノベーション・センター(Urban Innovation Centre)で最終的な展示イベントを開催します。その場でCiriumと他のパートナーがデモを発表し、それまでに得てきた教訓とプロジェクトの成果について議論します。イベントの詳細や参加方法については、こちらをご覧ください。
Ciriumは、ANRA Technologies、Connected Places Catapult、Neuron Innovations、Distributed Avionics、Southampton University(SOTON UAV)と共同でプロジェクトを主導しています。このプロジェクトは、英国政府が付与する3000万ポンドの助成金で予算の一部が賄われており、ウェールズ政府、NATS、航空管制官組合(GATCO)、Aerospace Walesの支援を受けています。
UTM対応データを提供
ドローンを空域に導入するには、状況認識性能を備えて安全な運用を確保し、飛行計画の情報を提供するための、信頼性が高く、正確かつタイムリーなデータが必要となります。Ciriumは、機械読み取りが可能で、空間的な性能が強化され、さらにアクセスも簡単にできるNOTAM、TFRおよび空域データを提供し、正確で信頼度の高い、共通の状況認識を可能にします。
これには、無人航空機システム(UAS)による使用のために強化されたグローバルなNOTAMのフルセットが含まれます。ライフサイクル全般のサポートとジオメトリを提供することで、NOTAMが高品質の航空データセットにより強化されます。その結果、プランニング、モニタリング、衝突回避のための関連イベントや制限を加味した、空域の完全かつ最新でグローバルな状況認識が可能になるのです。
航空輸送の未来を実現
無人交通管理には、新しいアプリケーションを支え、効率性を高め、新しい市場を開拓することで、航空業界のデジタルトランスフォーメーションにおいて重要な役割を果たすことが期待されています。Ciriumのデータと専門知識は、この分野のあらゆる組織がビジネス機会を実現するのを後押ししています。当社の専門家にお問い合わせいただき、御社のUTMプロジェクトを加速する方法をぜひ知ってください。