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Ascend Consultancy, 航空専門家の視点

Ascend Consultancyによる今後の展望:CAMSIは何のために使用されるのですか?

July 12, 2022

さらに注目すべきは、最新の5月のCASMI航空機価格調査において、4月に見られたポジティブなトレンドが継続していることです。

Michael Graham, Ascend by Cirium

筆者: Michael Graham, Valuations manager at Ascend by Cirium

Ascend by Ciriumは2021年4月、商用航空機市場センチメント指数(CAMSI)を導入しました。この月次指標では、主要市場のステークホルダーへのアンケート調査を通して、市場センチメントと価値・リース料のトレンドを追跡します。ステークホルダーには、リース会社、銀行、OEM、パーツアウト事業者、航空会社、ブローカーが含まれます。

私たちはCAMSIにおいて、NPS指標の手法を使用しています。これは、「高過ぎる」または「上昇傾向にある」の回答数から「低過ぎる」または「下降傾向にある」の回答数を差し引き、それを当該の質問に対する総サンプル回答数で除した割合として算出されます。40~-40%の範囲のスコアは概ね「安定」を表し、-40%未満のスコアは「否定的センチメント(感情)」を表し、40%超のスコアは「肯定的センチメント(感情)」を表すものとします。

CAMSIは何のために使用されるのですか?

現在のニュースを見たり、レポートを読んだりしていると、憂鬱な気分に陥りがちです。ロシアのウクライナ侵攻により、罪のない人々の命が奪われ続けています。ウクライナ国民は、祖国を守るために命がけで戦っています。また、中国政府が「ゼロコロナ」政策を続ける中、中国の多くの巨大都市圏の市民は、厳しいロックダウンの影響を受けてきました。合わせて、人員不足と、食品や燃料の価格が家の屋根を突き抜け、煙突も通り過ぎ、テレビのアンテナのてっぺんに達するほどに高騰したことが一因である高インフレも、背景にあります。

このようなすべての現状を考えると、航空機材価値に関する4月のCAMSI調査で見られたプラスのトレンドが、最新の5月調査でも継続したというのは、非常に注目すべきことです。しかしながら、最新の調査をもっとつぶさに見ていく前に、

私たちがAscend by Cirium評価チーム内でCAMSIを活用する方法を再確認することには意味があります。Ascendにおいては、市場価値およびリース料についての当社の見解は、現在もこれからも常に、データポイントの徹底的な収集、正規化、三角測量を基にします。価値の変化は、当社の価値評価委員会(VRB)により一括して決定されています。

こうしたプロセスを補強するためにCAMSIを有効活用できるのは、当社の調査活動の方向性が、調査への参加者がとりわけ明確な回答を示す機種に向けられるよう後押しするような場面においてです。2022年初頭以降、CAMSIのデータは、調査の方向性を機材の価値とリース料に向けるために活用されてきました。その機材はエアバスのA350-900およびA320ファミリーと、ボーイングの737と787です。

これまでに述べたとおり、新世代型のシングルアイル機を筆頭に、調査対象の大部分の機種で前向きなトレンドが続いていることがわかります。5月の調査では、ボーイング737Max 8が、70を超すネットプロモータースコア(NPS)を叩き出しました。これは、価値がかつてないほどに力強く上昇気流に乗っていることを示唆するものです。次点に入ったのはエアバスのA320neoファミリーと、カナダの航空会社に採用された同系列の機材であるA220-300です。Max 8のケースでは、明らかに新造機材の供給不足が要因となっていますが、特にレジャー客の間で旅行需要が回復しつつあることも、機材価格の上昇に寄与しています。ツインアイル機については、ロシアで運航されていた機材の一部が回収され、供給が増大するとの懸念があったにもかかわらず、2012年製ボーイング777-300ERのNPSスコアは、A330-300のスコアと歩調を合わせるようにして、プラス方向に伸び続けています。なお、この両機種ともに、新世代型787-9およびA350-900には未だリードされています。

ロシアで運航されている航空機の回収という課題は、リース会社にとっては、今やすっかり影が薄くなっています(もちろんリース会社は可能な限り、粛々とさらなる航空機の回収を目指してはいますが、最近では、そのほとんどの機材が、旅客便としてロシアから離れることが一切ないという事実に苛立ちを募らせています)。そして、この数週間は、ほとんどの先進国でここ数十年来の最高値に達しているインフレの方に関心が集まっています。インフレの事態を受け、各中央銀行は軒並み金利を引き上げており、その結果、リース会社の資本コストが上昇する可能性が高まっています。私たちが5月に投げかけた特別な質問は、超金融緩和政策が何年も続いた後、リース会社は、金利の上昇分をリース料の値上げという形で借主に完全に転嫁することにより、収益を維持できるだろうか、というものでした。

アンケートの回答者の大多数(71%)は、リース会社は、資本コストの上昇分をリース料の値上げという形で完全に転嫁することはできないと考えています。将来のリース料に関して言えば、金利上昇は多くの意味で、状況の本質から注意を逸らす要素となる可能性があります。というのは、Ascend by Ciriumチームが実施した別の調査では、依然として金利よりも供給と需給がリース料変動の主因であることを示しているからです。それを踏まえた上で、機材価値とリース料の回復については、少なくとも現時点ではまだ楽観視できる理由があると考えています。

私たちは、市場のすべての側面を反映させるべく、常に新たなアンケート回答者を探しています。回答者には、調査結果の完全版(上記の内容は主な概要に過ぎません)を入手できるというメリットがあります。アンケートに回答するための時間はわずか3分ですが、それにより回答者は、入手し得る最も大局的な機材価値の市場トレンド情報を手に入れることができるのです。CAMSIのアンケート調査に参加したい方は、michael.graham@cirium.comまでご連絡ください。アンケート回答者には、調査結果の完全かつ詳細な分析(10以上のグラフを含む)が提供されます。

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