筆者:Pang Yee Huat, Solutions Engineer at Cirium
旅客数が世界的に回復しつつあるなか、変化の激しい航空市場を適切に理解し、包括的な視点で意思決定を行ううえで、データ分析が果たす重要性は、これまで以上に高まっています。オペレーションの効率性と旅客サービスの質を向上させるため、空港では、さまざまなデータを活用し、航空会社のフライトパフォーマンスに関する有益な情報を見出そうと、また航空各社によるフライト計画策定プロセスの裏側を理解しようとしています。
アジアではパンデミックによる制限やさまざまな国境規制が緩和されつつあります。そうしたなか空港では、そのエコシステム全体で十分な対応力を確保し、旅客需要に応えるため、旅客数の回復ペースをモニタリングすることをとても重視しています。しかし航空機利用に関する追跡データを見ると、2023年3月時点のアジア太平洋地域の国際線利用者数は2019年の水準の40%減に留まっています。この主な要因は、中国の国際線が回復していないことにあります。中国の国際線は最近ようやく運航を再開しましたが、まだ2019年の水準の10%にも満たない状況です。
航空会社は空港エコシステムの極めて重要な一員であるため、空港のオペレーション計画を策定するうえで、航空会社のフリート構成と航空機の利用状況を理解することには、重要な意味があります。
航空機技術の向上によりナローボディ機の飛行距離はこれまで以上に拡大しました。これにより、以前はワイドボディ機が必要だった長距離ルートにもナローボディ機を使用することが可能になりました。
2023年2月時点のフライトスケジュールを見てみると、ナローボディ機による最長飛行距離トップ10のうちの5つが大西洋を横断する路線で占められています。そのトップはスカンジナビア航空のコペンハーゲン―ワシントンダレス線で、飛行距離は4,074マイル、ブロックタイムは9時間30分です。航空会社の間では長距離路線にナローボディ機を使用することが一般的になりつつあり、今後はA321 XLRのようなナローボディ機も導入されていくため、この傾向はさらに続くと予想されます。これに伴い、空港が検討すべき項目も増えました。たとえば、航空会社は今後特定の路線でナローボディ機の便数を増やしていくのだろうか?便数が増えた場合、空港は現在の滑走路と設備でそれに対応できるだろうか?といったことです。
将来に目を向けると、民間航空業界では、電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発といった未来に向けたプロジェクトへの関心がますます高まっています。空港やその他の航空業界関係者においては、これらのモデルそれぞれに対し航空各社がどれほど注力しているかをモニタリングすることで、それぞれの地域で使用される可能性が最も高いeVTOLモデルを見極めるヒントが得られるでしょう。
さまざまなデータセットが利用可能になっていくに従い、データ分析も進化を続けていきます。そしてテクノロジーも進化を続けていきます。Ciriumの「Southeast Asia Aviation Outlook and Airport Planning Insights」には、アジア太平洋地域の航空需要や回復の見通しなどが盛り込まれています。どうぞご覧になり、航空業界の一般的なデータからは得られない、空港にとって役立つ有益な情報を入手してください。
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