筆者:Naomi Neoh, Air Transport Reporter Asia for Cirium Dashboard
Ascend by Ciriumの最新の見通しでは、世界の旅客輸送量は、アジア太平洋および中国市場の回復は他の地域より遅れているにせよ、当初の予測よりもわずかに早まって、10月にはコロナ禍前の水準を上回る成長が見込まれるとしています。
先週の「ISTAT Asia」会議でスピーチしたAscend by CiriumのRob Morris(グローバルコンサルタント統括)は、今年3月のデータを踏まえ、有償旅客キロメートル(RPK)ベースでみた世界の旅客輸送量について、その増加率の2019年の水準への復帰が、早ければ9月に実現する可能性があると述べています。
これは、世界のトラフィック(輸送量)が、2023年には2019年の水準を平均6%下回り、2024年には同8%上回ると予測したシナリオに基づくものです。
輸送量は順調に回復しています。私たちはようやく、2019年に持たされることになった重荷を捨て、再び成長に向けて前進することができます。
しかし、アジア市場は、渡航制限の緩和に時間がかかり、依然として他地域に比べて遅れをとっています。
Morrisは、4月の運航スケジュールを見ても、アジア域内、太平洋横断、ヨーロッパ―アジア、インドネシア国内の各路線は、輸送キャパシティが2019年同月の水準より15%以上少ない状態が続いている唯一の市場になっていると指摘しました。
「特にアジア域内は中国発着輸送に依存しているため、大幅に減少したままになっています」と、Morrisは付け加えています。
それでも、この地域の見通しは改善傾向にあります。8月の運航スケジュールのデータでは、アジアの各国内線市場は2019年8月の水準から15%増加し、一方の国際線市場はその水準より23%少なくなることが示されています。
アジア地域の国内市場で最も好調なのは中国とベトナムで、それぞれ約20%、40%の伸びを示しているほか、インド、タイ、ニュージーランドはいずれも20%弱の伸びを示しています。
当然のことながら、国際線のキャパシティで最もパフォーマンスが振るわなかったのは中国で、平均68%減となり、次いで香港が約50%減となりました。
中国は今年1月に渡航制限を解除したばかりで、他の国々に比べて国際線のキャパシティの回復が遅れています。
日本、タイ、マレーシア、オーストラリア、韓国は、2019年の水準からの減少率がいずれも20%台となっています。
また、4月の機材の稼働率(利用率)のデータを見ても、中国では回復が遅れており、アジア太平洋地域でも、中国ほどではないものの回復遅延の傾向が示されています。
中国のナローボディ機の平均飛行時間は8時間未満で、世界平均の9時間弱を大きく下回り、さらにはアジア太平洋地域の8.5時間さえをも下回っています。
ワイドボディ機の稼働率については、その格差がさらに顕著です。世界平均が12時間以上、ヨーロッパの平均が14時間以上であるのに対し、中国は平均8時間未満となっています。
本バージョンの記事は、最初にCirium Dashboardに掲載されました。