ネットゼロへの道:増え続ける商用航空界のCO2排出量(パート2)
航空会社のCO2排出量削減に影響を与える要因
筆者:Andrew Doyle (Senior Director – Market Development, Cirium)
注:これは3部構成の第2部です。第1部と第3部をお読みください。
Cirium独自のEmerald Skyの方法論とデータ分析によると、2019年にCO2排出量が最も多かった航空会社200社(割合にして総排出量の93%。うち185社は現在も運航中)のうち81社は、2024年7月までの5年間でASK(有効座席キロ)あたりのCO2を平均3.9%以上削減できる見込みです。最も改善された航空会社(アイスランド航空)は、大規模なフリート更新プログラムの恩恵により24%以上の削減を記録する見通しです。他の航空会社、例えば排出量8.1%減と見込まれるブリティッシュ・エアウェイズは、新型コロナウイルスのパンデミックの間、747-400のような特に燃料消費の激しい航空機の全フリートを段階的に廃止する決定を下しました。
これとは逆に、フィンエアーのASKあたりのCO2排出量は、2019年から2024年の間に10%以上増加すると予測されていますが、これは主に、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、ロシア領空が使用できなくなったことが要因です。
この結果、フィンランドのフラッグキャリアであるフィンエアーが運航するA350フリートのASKあたりの燃料使用量は、約20%増加しました。これは、大圏距離ベースの方法論ではなく、Ciriumの飛行時間(分)ベースの方法論でフライト内容が把握されることにより、アジア発着便の飛行時間が延びたためです。
航空業界が直面している持続可能性に関する主要な課題は、商用旅客機の増加が予測される中、持続可能な航空燃料(SAF)の供給が大幅に拡大するまでは、CO2排出量の絶対量が増加し続けることにあります。
国際的な最新の推計によれば、世界全体の排出量のうち航空関連業界が占める割合は約2%と比較的小さいものの、化石燃料の使用にすぐに代替し得る手段がないこと、また上空で巻雲(飛行機雲)が形成されることによって温室効果が増大する可能性があることから、この業界は依然として風当たりが強い状況となっています。
次週のパート3「稼働フリートの変化が与える影響」もどうぞお楽しみに。EMERALD SKYの詳細については、当社までお問い合わせください。
APACにおける2024年の飛行機利用を分析する――明るい兆しと残された課題
January 2025
著者:Pang Yee HuatSolutions Consultant at Cirium 2024年はアジア太平洋地域における飛行機利用の面で特筆すべき年となり、とりわけ国際路線の著しい成長が見られました。今年はどの市場がトップパフォーマーになるでしょうか? APACにおける国別国際線旅客輸送量の上位10路線 2024年の最初の8ヵ月間、日本は最も混雑する目的地の一つであり続け、韓国、中国、台湾を結ぶ路線が旅客輸送量のトップ3にランクインしました。日本と韓国、台湾を結ぶ路線の旅客数が2桁台の力強い伸び率を示した一方で、中国と日本を結ぶ路線の旅客数は25%減という顕著な下落率となりました。この減少ぶりは、座席キャパシティの21%減という数字にも表れています。全体として、中国発着の国際線座席キャパシティは、新型コロナウイルスのパンデミック前の2019年の水準から28%減と回復が遅れ続けています。中国に接続するすべての主要路線で減少が見られ、旅客輸送に関する課題を引き続き提起しています。 2024年の最初の8ヵ月間、日本は最も混雑する目的地の一つであり続け、韓国、中国、台湾を結ぶ路線が旅客輸送量のトップ3にランクインしました。日本と韓国、台湾を結ぶ路線の旅客数が2桁台の力強い伸び率を示した一方で、中国と日本を結ぶ路線の旅客数は25%減という顕著な下落率となりました。この減少ぶりは、座席キャパシティの21%減という数字にも表れています。全体として、中国発着の国際線座席キャパシティは、新型コロナウイルスのパンデミック前の2019年の水準から28%減と回復が遅れ続けています。中国に接続するすべての主要路線で減少が見られ、旅客輸送に関する課題を引き続き提起しています。 一方、ベトナム―韓国線は順調な成長ぶりを示しています。その旅客輸送量は15%増加し、2024年1月から8月にかけての座席キャパシティは2019年同期比で11%増加しました。この8ヵ月間には、ニャチャン―清州、ダラット―釜山、フーコック島―清州、フーコック島―釜山、カントー―ソウルの5路線が新たに開設されました。この市場ではベトジェットエア(VietJet Air)が圧倒的な存在感を示しており、総座席数390万席のうち110万席を同社が提供しています。これに続くのは、大韓航空の57万8,000席、次いでベトナム航空の50万席です。 同様の成長ぶりが見られたもう一つの市場はインド―アラブ首長国連邦線で、2019年から2024年にかけて旅客輸送量と座席キャパシティがともに15%増加しました。この成長の原動力となった要素は、インディゴ(6E)とエア・インディア・エクスプレス(IX)がそれぞれ55%増と21%増の座席キャパシティを投入したことと、エア・アラビア・アブダビ(3L)の新規参入の結果、アラブ首長国連邦(UAE)発インド行き路線に40万7,000席がさらに加わったことです。 APACにおける国別国際線座席キャパシティの上位10路線 2025年第1四半期のアジア太平洋路線における予定座席数の上位10路線を分析すると、ほとんどの主要市場がパンデミック以前の水準を突破し、現在は成長段階にあることが明らかになります。注目されるのは、韓国―ベトナム線やインド―アラブ首長国連邦線といった路線が力強い上昇傾向を維持していることです。この2路線の座席キャパシティはそれぞれ27%と20%、増加しています。 しかし、中国はこの上昇傾向の例外になっています。タイ、韓国、香港への主要国際路線は2019年の水準をなお大幅に下回っており、タイへの輸送量は依然として22%減の状況です。回復の可能性はあると思われますが、今後も市場の需要や国家政策の変更、さらに広範な経済条件を含め、さまざまな要因によって実績は大きく左右されるでしょう。とはいえ、適切な条件が整ってくれば、緩やかな回復が見えてくる可能性があります。
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