テクノロジーは、効率化、コスト節減、サービス向上を実現するにあたって大いに役立ちます。航空業界のようにネットワーク化されたシステムにおいては、業界全体で認識される共通のデータ形式を利用することが重要です。国際航空運送協会(IATA)の標準スケジュール情報マニュアル(Standard Schedules Information Manual=SSIM)フォーマットは、航空会社がグローバルなスケジュールデータに迅速にアクセスして活用できるようにするためのフォーマットの一つです。
Ciriumはスケジュールデータを提供しているリーディング企業です。本稿では、IATA SSIMフォーマットと、航空会社による同フォーマットの使用方法について包括的に説明します。Ciriumの顧客にとって、SSIMは収益性の高いルート、効率的なネットワーク、良好な旅行者体験の基盤となります。
IATA SSIMフォーマットの概要
IATA SSIMとは、航空会社が、GDSやその他の航空業界のステークホルダーとの間で、旅程作成を可能にするフライトスケジュールやその他スケジュールに関する機能を相互に利用できるようにするための標準フォーマットです。SSIMフォーマットには、便名、出発・到着時刻、空港コード、運航機材の種類やその他の情報を構造化したデータ要素が含まれています。これらの要素は、構造的な階層を形成する特定の序列に従って定義されています。SSIMのフォーマットは、運航頻度、運航日数、機材の装備、季節的変化などに起因するフライトスケジュールの変動に対し、柔軟に対応することができます。
IATA SSIMフォーマットの使用方法
SSIMは、航空会社がデータをやりとりするための重要な歯車です。航空会社はSSIMフォーマットを使用して、GDSやその他のステークホルダーとの間で、スケジュールや路線のデータを交換しています。GDSはこのデータを、航空券の販売、フライトスケジュールの更新、在庫機材の管理に活用します。また、SSIMフォーマットは、最新のフライト情報に基づき、空港および航空管制のシステムを更新する際にも使用されます。
航空会社の運航チームはSSIMのフォーマットを使用して、フライトスケジュールの作成と管理、路線パフォーマンスの監視、航空業界のトレンド分析を行っています。
加えて、航空会社は、SSIMフォーマットを利用して、他の航空会社との間で、コードシェアやインターラインの契約の共有も行っています。
IATA SSIMフォーマットを使用するメリット
SSIMフォーマットは、航空会社、GDSやその他のステークホルダーにいくつかのメリットをもたらします。まず、すべての航空会社やシステム間で標準化された一貫性のあるデータを確保し、エラーを減らして自動化を促進します。第二に、航空会社とGDSとの間の自動データ同期をサポートし、手作業によるデータ入力に必要な時間とリソースを削減します。最後に、SSIMフォーマットを使用することにより、フライトスケジュールをより迅速かつ正確に更新することが可能になり、信頼度や顧客満足度が向上します。
IATA SSIMフォーマットを使用する際の課題
SSIMフォーマットはそのメリットの反面、航空会社に対してはいくつかの課題も提起しています。最大の課題の一つは、SSIMデータの開発・管理に必要となる高度な専門知識です。例えば、SSIMでは、メインフレーム(大型汎用コンピューター)時代を彷彿とさせる固定位置(非区切り文字)のテキストファイルが使用され、さまざまなレコードタイプがあります。特殊なETLツールが必要なため、データを適切に取り込んで(インジェストして)解析するのが難しいのです。さらに、ほとんどの分析において、SSIMはターンキー(すぐ使える状態)にはなっておらず、サマリー(要約)を使って期間中のフライトオペレーションの範囲を反映させることになります。また、SSIM内では一定レベルのデータの重複が存在する可能性があり、分析のためにそのような重複を排除するか、さもなければ重複を踏まえて適切に解釈することが必要になる場合があります。その結果として、航空会社の訓練費用や人件費が高くなるかもしれません。最終的には、フライトスケジュールの変更や路線変更に伴うデータの更新を頻繁に行う必要が出てきます。そのような作業は、予想以上に時間がかかる可能性があります。
Ciriumはこれらの課題を十分に認識し、世界中の航空会社とともに、スケジュールデータの取り込み(インジェスト)、処理、修正、正規化を精力的に行ってきました。Ciriumの専門家チームは、世界中の航空会社やその関係先をサポートし、顧客がSSIMやスケジュールデータの可能性を幅広く、最大限に引き出せるよう支援します。
IATA SSIMフォーマットの将来像
航空業界は常に進歩しており、SSIMフォーマットも同様に進化しています。IATAは、SSIMフォーマットの変更と強化の状況を常に評価しています。このフォーマットは、データ構造を改善し、航空会社、GDSシステムやその他のステークホルダー間のより良い統合を保証していくものです。今後のSSIMの機能強化により、より柔軟な対応が可能になり、手作業によるデータ入力の必要性は軽減されるはずです。航空業界における自動化、人工知能(AI)の浸透により、SSIMフォーマットの重要性は今後さらに高まっていくと思われます。
全体として見れば、SSIMフォーマットは、航空会社が運航スケジュールを管理し、GDSとの間で路線データを交換し、顧客に一貫性と信頼性のあるサービスを確実に提供するために使用する不可欠なツールです。
航空業界が発展し続ける中、自動化を促進し、効率性を高め、世界中の何百万人もの乗客に優れたサービスを提供する上で、SSIMフォーマットは重要な役割を果たすでしょう。Ciriumは航空関連業界に貢献し、世界中の顧客をサポートすることをお約束します。Ciriumのスケジュールデータの詳細をご覧ください。
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